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2025年6月18日
近年、企業イベントや地域プロモーション、スポーツ中継などで「ライブ配信」を取り入れるケースが急増しています。
コロナ禍を経て、「ライブ配信」がオンラインで情報を届ける手段として定着した今、配信の「クオリティ」や「安定性」が視聴者の満足度や信頼に直結する時代になりました。
しかし一方で、「音が出ない」「途中で配信が止まった」「画面が真っ暗だった」など、ちょっとした確認不足が大きなトラブルに発展するケースも少なくありません。
そこで本記事では、配信現場で多くの案件を手がけてきた視点から、ライブ配信で失敗しないための「5つの基本チェックリスト」をお伝えします。
配信初心者の方はもちろん、広報担当者や現場を任されている方にも役立つ内容です。
このチェックを押さえるだけで、トラブルを回避し、スムーズで安心な配信が可能になります。
目次
ライブ配信において、「機材のトラブル」は最も多く、最も致命的な問題のひとつです。
カメラが映らない、マイクの音が入らない、スイッチャーが動作しない…そうした不具合は、すべて「事前のチェック」で防ぐことができます。
ここでは、配信機材で最低限チェックすべきポイントを5つ紹介します。
使用予定のカメラとマイクは、配信ソフトと正しく接続されているか、音声・映像が問題なく出力されているかを事前に確認しましょう。複数台カメラを接続している場合や、常設の配信スタジオの場合、事前チェックを怠り、配信開始してから接続に不具合がある事が発覚する事もあります。
USB接続やHDMI、キャプチャーボードの認識エラーはよく起こる現象なので、必ずその日に使用するシーン全てのカメラが接続されていることを確認しましょう。
1台しかカメラやマイクがない状態で本番を迎えるのは非常にリスキーです。
テストでは良かったのに、配信中に突如、機材の調子が悪くなることもあります。
最低1セットの予備機材を準備しておくことを推奨します。
特に、ワイヤレスマイクは電池切れも含めてトラブルが多発しがち。
映像・音声の切り替えを担う機材の設定は、本番で最も重要です。
切り替え時にフリーズしたり、音声ミックスが崩れたりしないように、事前にテスト配信で挙動を確認しましょう。準備しているCMの動画が重すぎてなめらかに再生できないなどのトラブルなど、もしものケースも含め事前にトラブルになりがちな部分のチェックをしてください。
意外に見落とされやすいのが、ケーブル類の状態確認です。
特に、使用頻度の高いHDMIやXLRケーブルは、目立った傷がなくても接触不良を起こしていることがあります。ケーブルは外から見て問題が無くても内側で断線してる場合やコネクター部分が劣化している可能性もあります。特に常設のケーブルなどは、経年劣化や動物が嚙みついてのケーブル断線というケースもあるという事を考えておいてください。
本番でケーブルに足を引っかけて抜けた…なんて事故も実際に起きています。
ケーブル保護マットや養生テープでの固定などの動線確保は必須です。
安全性とスムーズな運営の両方のために、事前のケーブル整理を忘れずに。
事前準備の「ひと手間」が、当日のトラブルを大幅に減らします。
「動くはず」と思い込まず、実際に動かして確認することが何より大事です。
どれだけ高品質な映像や音声を用意しても、通信が不安定ではすべてが台無しです。
ライブ配信において、インターネット回線の安定性=生命線といっても過言ではありません。
本章では、配信現場でよくある通信トラブルと、それを防ぐためのチェックポイントを解説します。
「とりあえず会場にWi-Fiがあるから大丈夫でしょ」
…その油断、配信事故の元です。
ライブ配信には、必ず有線LANを使用しましょう。
無線は電波干渉・混雑・遮蔽物の影響を受けやすく、配信の安定性には向いていません。
特に人が多く集まるイベント会場では、通信が混雑して速度が大幅に低下することもあります。
以下が、一般的な配信に必要な回線速度の目安です:
上り(アップロード)回線が重要です。
「Speedtest(https://www.speedtest.net/ja)」などの無料ツールで事前に測定しておきましょう。
有線を使用していても、同じ回線にスタッフのスマホや他のPCが接続されていると、帯域が奪われて配信が不安定になります。
「配信用の専用回線を確保する」か「他機器の使用を制限する」対策が必要です。
可能であれば、モバイルルーターやスマホのテザリング回線を予備として準備しておきましょう。
メイン回線にトラブルが起きたとき、緊急避難的に切り替えることで配信を続けられる可能性が高まります。
意外と見落とされるのが、現地に設置されているネットワーク機器の不備や設定ミスです。
古いルーターや、設定が不十分なハブは通信を不安定にする原因になります。
持ち込み機材で完結できるのが理想的です。
通信トラブルは「運が悪かった」ではなく、「準備不足だった」場合がほとんどです。
本番直前ではどうにもならないため、現場入り前の「通信確認」は絶対に怠らないようにしましょう。
ライブ配信では、会場の環境そのものが「映像クオリティ」に大きな影響を与えます。
「ちゃんとカメラもマイクも用意したのに、なんか見づらい・聞きづらい…」
そんな残念な配信は、環境チェックの見落としから起きることが多いです。
この章では、現地で必ずチェックしておきたい3つの環境要素を解説します。
体育館や広いホール、無観客の競技場などでは、音が反響しすぎて聞き取りづらくなることがあります。
また、屋外では風や車の音、通行人の声など予想外のノイズが入る場合も。
現地で実際にマイクを通した音を確認し、必要に応じて:
・指向性マイクの使用
・風防(ウィンドジャマー)の装着
・音声を後から加工する前提の設計
などで対応しましょう。
カメラが捉える映像は、照明次第で印象が大きく変わります。
・会場が暗すぎて顔が映らない
・蛍光灯の色味で顔が青白く見える
・日差しの角度で被写体が影だらけになる
こうした事態は、照明の位置・明るさ・色温度を調整することで改善できます。
可能なら照明機材を持ち込むか、自然光の向きと時間を計算して撮影タイミングを決めるのがベスト。
背景に不要なものが映っていないか?も要チェック。
特に競技場や施設では、機材やスタッフ、告知物、通行人などが映り込むリスクがあります。
特にアーカイブを残す場合は、映り込むものにも細心の注意を払う事で後からのトラブルを回避できます。
・背景の整理整頓
・バナーやロールスクリーンで目隠し
・カメラアングルの工夫
で、視覚的な“プロっぽさ”を演出することができます。
ライブ配信は、単なる「カメラで撮る」だけの作業ではありません。
その場の空間すべてが映像の一部になるという意識を持って、環境を整えることが大切です。
配信当日、どんなに機材や通信環境が万全でも、「人の動き」がグダグダだとすべてが台無しになります。
現場でありがちなのが、「誰が何をやるのか決まっていない」「全員がバタバタしてミスが連発」という状況。
この章では、配信現場での運営体制づくりのコツを解説します。
ライブ配信に必要な人員は、内容や規模によって変わりますが、基本的に1人では絶対に回しきれません。何かトラブルがあった場合も含め、最低でも2人以上、出来れば3人で配信する事をお勧めします。
最低でも必要なのは以下の2役:
出来ればもう一人、配信のモニタリングやトラブル対応、配信のサポートなどが出来る人員を用意しておけば安心です。
さらに、可能であれば進行台本やタイムスケジュールを共有しておくと連携がスムーズになります。
現場でトラブルが起きたとき、「誰に報告すればいいか」「誰が判断するか」が曖昧だと混乱します。
・「映像が映らないときは○○さんに報告」
・「トラブル発生時は配信を止める/続行の判断は××が行う」
など、トラブル時の対応ルールをあらかじめ決めておくことが大切です。
配信内容に沿った「進行表(タイムテーブル)」や「台本」は必須です。
開始・終了の時間、映像や音声の切り替えポイント、出演者のセリフや入退場のタイミングなど、詳細に記載します。
・スプレッドシートや印刷した紙で全員に共有
・配信中はその進行表を見ながら動けるように配置
特に出演者が複数いたり、トーク+VTR+演出などが混在する配信では不可欠です。
出演者に進行は任せてるという現場でも突然のトラブルの際に現場が混乱するという事はよくある話です。簡易的でも何かしら進行がわかるものを用意してください。
“ぶっつけ本番”は事故の元。
最低でも「全体の流れを1回通す」だけでも、本番での安心感が段違いです。
・配信リハ(音声・映像・切り替え)
・出演者リハ(タイミング・セリフ・立ち位置)
・進行確認(想定より時間が押す/巻く場合の対応)
こうした事前シミュレーションが“本番での余裕”につながります。
「配信現場は戦場」なんて言い方もあるくらい、現場対応力が問われるのがライブ配信です。
当日セッティングの現場であっても事前に自社で配線を組み立てて、事前の準備するなど、準備はし過ぎなくらいが丁度良いとも言えます。
配信の「出口」=どこに・どう届けるかという部分も非常に重要です。
せっかくの映像も、プラットフォームの選定や設定が適当だと、視聴者に届かない・見づらい・聞きづらいという事態になります。
この章では、配信先プラットフォームの選び方と、視聴環境への配慮について整理していきましょう。
主な配信先にはそれぞれ特徴があります:
目的や視聴者の属性に合わせて最適なプラットフォームを選ぶことが大事です。
以下のような“ありがちな凡ミス”には要注意:
・公開設定が「非公開」のまま配信 → 誰にも見られない
・コメント欄がオフ/スパム防止が効きすぎ → 視聴者とのやり取り不可
・配信予約のURLと違うURLを間違って共有 → 別のページに誘導されてしまう
YouTubeならYouTube Studio、Zoomなら事前設定画面で、すべての設定を本番前に確認しておきましょう。
現場側が意外と見落としがちなのが、視聴者の受け取り環境です。
・配信URLは早めに送っておく(当日バタバタ配布しない)
・「視聴方法マニュアル」や「配信の注意点」を簡単にまとめておく
・配信が始まる5〜10分前には“待機画面”を出しておく
このひと手間で、視聴者の不安・混乱・クレームをかなり減らせます。
・「配信を見逃した人」向けのアーカイブ公開も、実は問い合わせや反響に直結する大事なポイントです。
・アーカイブ用にタイトル・説明・サムネイルを整えることで、二次活用(SNS・YouTube・営業資料)にも有効。
ライブ配信を一度きりの「使い捨て」で終わらせるのはもったいない!
配信のゴールは“スタートボタンを押すこと”じゃない。
「伝えたい人に、ちゃんと届いたか」までが成功の定義です。
プラットフォームと視聴環境への配慮が、あなたの配信を“信頼されるコンテンツ”に育ててくれます。
概要:
ライブ配信番組の本番、出演者がスタンバイし、オープニング映像もスタート。
しかし、YouTubeの「配信開始ボタン」を押し忘れていたため、最初の約5分間、配信されていなかったことが後から発覚…。
原因:
・OBS上では配信準備完了と表示されていたが、YouTube側のスタート操作を失念
・担当者の頭の中では「始めたつもり」になっていた
・操作確認のダブルチェック体制がなかった
教訓:
👉 「配信スタート確認」は番組開始前の最重要チェック項目。
👉 配信担当とディレクターがダブルチェックで“視聴者側で見えているか”を確認するルールづくりが効果的。
概要:
ライブ配信中に視聴者から「止まってる!」「カクついてる」といったコメントが連続で届き、スタッフがあたふた。
PCを再起動したり、回線をモバイルルーターに切り替えたりと、あらゆる手を尽くしたが改善せず…。
ところが、配信終了後に確認したアーカイブは一切止まることなく正常に再生されていた。
原因:
・視聴者側のネット環境や端末、またはYouTube側の一時的な不具合
・配信側で焦って機材を再起動してしまい、かえってトラブルを拡大しかねない状況に
教訓:
👉 視聴者からの報告=必ずしも自社側の問題とは限らない
👉 YouTubeなどプラットフォーム側の不具合や、視聴者端末の問題も想定して冷静に対処
👉 その場でアーカイブを確認できる環境 or 同時モニタリング端末を用意しておくと安心
概要:
講演会のライブ配信中、登壇者が持ち込んだPCでスライドを表示しようとしたところ、配信側ではスライドが映っていたが、会場のプロジェクターには何も映らず。
登壇者は配信開始後に現地入りしたため、ぶっつけ本番で接続チェックができていなかった。
原因:
・登壇者が自前のPCを使用、プロジェクターとの相性未確認
・事前リハーサルや接続チェックの時間が取れなかった
教訓:
👉 登壇者が事前に会場入りできない場合は、プレゼンデータの事前提供を依頼し、会場側で用意したPCから再生するのがベスト
👉 会場で使用するプロジェクター・配信画面・音声の3点を同時に確認するリハーサルが必要
ライブ配信は一見シンプルに見えて、実際には事前の準備や段取りが全てを左右します。
今回ご紹介した5つのチェックリストは、どれも「当日になってからでは手遅れ」なものばかり。
・配信機材の確認
・回線の安定性確保
・会場環境の調整
・スタッフの連携と進行管理
・プラットフォームと視聴者への配慮
これらを一つひとつ丁寧に確認しておくだけで、トラブルのリスクは大幅に減り、クオリティは確実に上がります。
「伝えたいことを、ちゃんと届ける」
そのために、ライブ配信は“テクニック”より“段取り力”が命なんです。
「弊社では、ライブ配信での映像制作・現場オペレーション・設営全般に対応可能です。お気軽にご相談ください。」