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コラム

2025年6月30日

映像制作の常識が変わる!AIツールでできること・できないこと【2025年最新版】

映像制作の“常識”はもう通用しない

過去、映像制作といえば、高価な機材と専門スキルを持ったプロフェッショナルの領域でした。しかし今、デバイスの発達やAI技術の進歩により、その常識が覆ってしまいました。

2025年の現在、AI技術によって映像制作のあり方が大きく変わりつつあり、テキストから映像を自動生成するツールや、簡易的な編集を瞬時に行う機能が一般利用レベルにまで到達しています。とはいえ、「AIだけで動画制作を完結させるのは本当に可能なのか?」という疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

この記事では、AI映像制作ツールの進化と現実、そしてAIにできること・できないことを明確に整理しながら、映像制作における“これからの選択肢”をわかりやすく解説します。

1. 今、AI映像はどこまで来た?

2025年現在、映像制作はAIによって大きな変革を迎えています。GoogleのVeo 3は音声付きの高解像度映像生成に対応し、YouTube ShortsやCanvaへの統合が進んでいます。OpenAIのSoraやRunway、AdobeのFirefly Video Modelなども急速に進化を遂げ、もはや”誰でも動画を作れる時代”が到来しつつあります。

実際のVeo 3による映像生成のデモはこちら

これらのツールは、SNS用の短尺動画、社内マニュアル、教育コンテンツ、広告素材の試作などの制作をより簡単にスピーディーにすることに大きな活躍を見せています。特にスピードとコスト削減という点では、小規模事業者やスタートアップにとっても非常に魅力的な選択肢となっています。

例えば、以前は企画・撮影・編集で数週間〜数ヶ月かかっていたような動画でも、AIを活用すれば、わずか数日でプロトタイプを形にできる時代です。さらに、音声や翻訳もAIが自動で処理してくれるため、多言語対応の映像を低コストで量産することも可能になってきました。

しかし一方で、「AIだけで完璧な映像作品が作れるという段階ではない」という現実もあります。感情表現や構成力、演出力に加え、細かな修正指示への対応や作者の想像とのギャップなど、“本質的な魅力を伝える”という部分や「意図をくみ取る」という部分は依然として人の手に委ねられているのです。ツールが進化しても、“伝わる映像”を作るには設計・意図・視点が欠かせません。

2. AIでできること・できないこと

AIでできること

・美麗な映像素材の生成(例:Veo、Sora、Runway、Kling)
・AIによる音声ナレーションやBGMの生成(例:Suno、Udio、ElevenLabs)
・映像・音声からの文字起こし/自動字幕生成(例:Gladia、Whisper、YouTube Studio)
・多言語翻訳・字幕の自動作成(例:ChatGPT、HeyGen)
・簡易的な動画編集・カット・B-roll補完(例:Adobe premiere Pro、DaVinci Resolve)
・AIアバターを使ったプレゼンテーション映像(例:Synthesia、HeyGen)
・SNS用のサムネイル・画像の自動生成(例:ChatGPT、Midjourney、Firefly)
・短尺動画の拡張・ノイズ除去・画質向上(例:Adobe premiere Pro、Topaz Video AI)
・シンプルなプロモーションやテンプレート的な動画作成(例:Canva、InVideo、Pictory)

AIでできないこと(2025.6現在)

・微妙な間や感情を伴うナレーションや演技の表現
・複雑で長尺なストーリー構成や演出設計
・ブランドごとの世界観やトーンを理解した上で再現すること
・コンテンツ全体の目的や戦略を踏まえた構成判断
・ユーザーの意図に100%沿ったクリエイティブの調整
・倫理性、社会的配慮のあるコンテンツ判断
・手描き的な表現やアーティスティックなひらめきや創造

例えば、YouTube用の短尺コンテンツ(紹介動画、商品説明、SNSプロモーション)であれば、AIがスクリプト生成からナレーション・映像まで自動化できます。しかし、ブランドのストーリーやイメージを強く印象づけたい映像になると、やはり人間の設計力が問われます。

また、著作権の観点からも注意が必要です。AIで生成された映像や音声は、ツールごとに商用利用の可否やライセンス条件が異なります。例えば、Adobe Fireflyは商用可能なライブラリとして信頼性が高いですが、SoraやRunwayなど一部のツールはまだ規約が不明瞭な部分もあるため、使用時には必ず確認が必要です。

特に重要なのは、単に「技術的にできるか」ではなく、「誰に何をどう伝えるか」によって必要な要素が変わるという点です。目的に応じてAIを効率的に使いこなすにはどうすれば良いか?を考えることが私たちにできることです。

3. 注目の主要AIツール紹介

AI映像制作をするためのツールは日々更新され、新しいものが日々生み出されています。その中でも今2025年時点で注目を集めている代表的な5つのAIツールを簡単にご紹介します。

Google Veo 3: プロンプトから直接高精度な映像と音声(ナレーション)を生成するマルチモーダルAI。映像生成において“動きの自然さ”と“色彩・構図の美しさ”を両立させた次世代モデルとして、2025年に公開され話題に。

OpenAI Sora: テキストプロンプトからリアルな短尺映像を生成するAIモデル。ChatGPTとの連動により、ストーリー性や会話文を含むシーン生成に強みを持つ。一般公開は一部クリエイターに限られるが、今後の本格展開が期待されている。

Runway Gen-4: RunwayのGenシリーズは、動画生成AIとしては最も実用レベルに達しており、生成から編集・アニメーション追加までを1つのツール内で完結できる強みがある。CM・MV・短編映画などでの実運用も進んでいる。

Adobe Firefly Video Model:Premiere ProやAfter Effectsとの統合を前提に設計された映像生成・補完用AI。プロの編集フローに自然に組み込めるツールとして、映像制作現場でのAI活用を推進している。

Kling(クリング): 中国のKuaishou(快手)が開発した高性能な動画生成AIで、リアルな動き・自然なカメラワーク・物理挙動の再現性において、他のツールと一線を画しています。2024年後半から一部クリエイター向けに公開され、SNSや映像制作者の間で注目を集めています。

参考動画へのリンク

4. 自社制作 vs. 外注:どう判断すべき?

AIツールの進化により、自社でも一定レベルの映像を作成できるようになったのは事実です。特に目的が明確で演出の自由度がそこまで求められない用途であれば、AIを活用することで非常に効率的な運用が可能になります。

ただし、映像の“質”や“影響力”が問われる場面では、自社内制作だけでは不十分なこともあります。必要に応じて、外部の制作会社との連携が推奨されます。

  • 企業やブランドの「世界観」を正しく表現したい
  • 映像の中に生身の人間が登場し、演技・対話が絡む
  • 音楽、映像、ナレーション、グラフィックなど多要素の連動が必要
  • 商用利用・著作権処理・倫理配慮が重要なプロジェクト

“どこまでをAIで補い、どこから人が担うか”の判断が今後、映像制作の設計段階から求められます。

中には「まずは試しにAIを使ってみたい」というニーズも出てきています。
ただし「使ってみたい」という理由では、使うツールの選定や制作する上でのモチベーションに不安が残ります。
まずは何を作るにしても、目的を明確にしていく事が大切です。

5. 注意すべきリスクとその対策

AIを活用した映像制作には多くのメリットがある一方で、いくつかのリスクにも注意を払う必要があります。ここでは特に重要なリスクと、それに対する実践的な対策を紹介します。

① 品質のばらつき・意図のズレ 生成した素材について、プロンプトによっては品質にばらつきが出たり、生成された映像が「伝えたいメッセージ」とズレるケースが多々あります。特に抽象的なテーマや感情を扱う表現では、AIが人間の感性を完全に再現するのはまだ難しい段階です。またクライアントのいる案件の場合、クライアントからの細かな修正や要望に応えられない可能性があります。

対策: 最終的な構成・演出は人間が細かく確認し、必要に応じて補完・修正を加える。クライアントがいる場合は、事前にAIをどう使うのかを説明しておく必要があります。

② 著作権・ライセンス問題 一部のAIツールでは、使用素材の権利帰属や商用利用の範囲が明確でない場合があります。生成画像やBGMなどが既存コンテンツと酷似してしまうリスクも無視できません。

対策: 利用するツールの商用可否・ライセンス範囲を明確に確認し、必要であれば法的専門家に相談する。

③ 誤情報や倫理的課題に対する問題 Deepfake技術に近い高度な映像生成が可能になった一方で、「誰が何を言ったのか」といった事実関係が曖昧になりやすくなっています。間違った情報を発信したり、倫理的に問題のある内容をわからずに伝えてしまうリスクを常に考えなければ、企業ブランディングや報道系映像においては大きな問題に発展することもあります。

対策: 映像の使用文脈・視聴者への影響を十分に考慮し、誤解を与えない表現・ナレーション構成を行う。AIが使用しているソースを確認し、その真偽を人間の目で確かめる。


6. まとめと次のステップ

AIは、映像制作における新たな“表現と効率の道具”として、急速に存在感を高めています。2025年現在のAIツールは、従来では考えられなかったスピード・コスト・拡張性を可能にし、映像制作のハードルを劇的に下げました。

しかし同時に、必ずしも万能ではありません。品質担保や著作権・倫理の配慮、文脈に合った表現の最終調整など、今なお“人間の知恵と感性”が必要な領域も多く残っています。

AIに任せるべき領域/人が担うべき領域 この境界線を正しく理解し、プロジェクトごとに最適なバランスを組み立てること。それこそが、今後の映像制作における最も重要な設計力だと言えるでしょう。

まずは、気軽に試せるスモールステップから始めてみる。どのツールを使えば良いか、どの部分からAI化できるかを一緒に考える——それが第一歩です。

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